出会い
久しぶりの地球。
故国であるはずのオーブ。
大嫌いな、そして一生許すことの出来ない国。
そんな大地を踏みしめる自分に自嘲的に笑う。
別にプラントに何かを思うわけでもないが、なんとなくこの間まで自分がいたはずの場所へ思いを馳せ、空を見上げる。
人の気配を感じ、ふと視線を下ろした先に見知らぬ青年が立っていた。
そして、その青年もまた空を見上げていた。
その紫の瞳は、どこか悲しそうに空の色に染まる。
「どうしたんですか?」
シンはその表情に思わず声をかけずにはいられなかった。
青年はそのシンの呼びかけに答えるように、ゆっくりと視線をおろし、そして声の主のシンに視線を送った。
「いや、なんでもないよ」
青年は見られてしまった、というような苦笑いを浮かべたあと優しい笑みを浮かべシンに尋ねた。
「どうかしたように、見えたかい?」
青年の笑顔が揺れる。
陽だまりのような暖かな、そしてどこか憂いを秘めたその笑顔にシンは戸惑う。
「いえ」
この気持ちはなんだ?と、動揺していることを悟られないように、シンは平静を装って一言答えた。
……それが精一杯だった。
「綺麗だよね」
ふとした呟きにどれだけの意味が込められているのだろう、と感じずにはいられない青年の声につられるように空を見上げる。
そこには綺麗な空が広がっていた。
「そうですね」
シンがそう答えると、青年はブツブツと何かを呟いたようだが、シンには聞き取れなかった。
「何か言いましたか?」
小首をかしげてシンは青年に尋ねる。
「ううん、なんでもないよ。さて、僕は行くよ」
青年は首を振りながら、しっかりと答えた。
その瞳は先ほどまで見えていた、やわらかい光ではなくて、鋭い光を宿していた。
青年はゆっくり瞬きをして、しっかりとした足取りでシンから離れていく。と、思ったらふと立ち止まり振り替える。
「気をつけてね」
にっこりと微笑んでそういうと、また歩き出した。
「え?」
シンはいまいち状況がつかめずきょとんとその後姿を見送った。
言い訳
前にBlogに書いた捏造出会いです。
そのままです(ヲイ)