アスラン
アスランの目の前には、ラクスとそしてラクスの後に寄り添うように立つキラ。
ラクスはにっこりと微笑を浮かべてアスランを迎える。キラの表情はラクスの影で見えない。
「お久しぶりですわ、アスラン」
「ええ、お久しぶりですね、ラクス」
「プラントへ行ったというお話しはカガリから聞いていましたが、まさかザフトに戻ったとは思いもしませんでしたわ」
ラクスの笑顔は一切崩れない。
「アスラン」
「なんですか?」
曇りのない笑顔には凄みすらにじんでいた。アスランは少々たじろぎながらも平静を装いつつ振舞う。
「もう一度、あなたに問います」
ラクスはゆっくりと瞬きをしてまっすぐにアスランを見据える。
一呼吸置いて、ラクスは口を開く。
「アスラン、あなたが信じて戦うものは何ですか?」
それは二度目の問い。アスランは劇場で問われたとき、何も答えられなかったのだ。答えを持っていない、だけではなく初めて見る元婚約者の厳しい表情に圧倒され、その存在に完全に呑まれた。
しかし、時は流れアスランもまた成長した。だから、今度はその視線に戸惑いもせず、ラクスを見ることが出来た。
「大切な人が笑っていられる…未来」
しっかりとした口調でアスランはラクスに告げる。その表情は不安でいっぱいだったかつてのアスランはなく、しっかりと未来を見据えている事を言葉よりも雄弁に語っていた。
「そうですか」
にこり、とラクスは微笑む。そして、キラに視線をちらりと送ると、キラも穏やかに微笑んで頷く。
アスランはそんな二人のやり取りを少し不思議そうに見ていた。
キラが頷いたのを確認すると、ラクスは視線をアスランに戻す。そして、笑みを浮かべる。それは先ほどとは違い友人に向ける柔らかい微笑み。
「その言葉を信じますわ。あなたの信じる道を進むために、その制服を着ることを選んだのですね」
「ラクス」
キラがラクスの肩を叩き腕時計に目をやる。ラクスはそれだけで察した。
「アスラン、気をつけてください」
「ラクスも…気をつけてください」
「ありがとうございます。わたくしは大丈夫ですわ」
ラクスはアスランに満面の笑みで応え、そしてちらりとキラに視線を送る。
アスランはそれをみて、そうだなと呟き笑う。
「じゃあね、アスラン」
「またお会いいたしましょう、アスラン」
二人はそれぞれアスランに別れを告げて、寄り添ってフリーダムの方へと歩いていく。
「まて…!か、カガリは……?」
二人がフリーダムに乗り込む寸前にアスランは声をあげる。
二人はその言葉を待っていたように、ゆっくりとアスランを振り返る。
二人は微笑を浮かべてアスランを見つめる。
少しの間の沈黙。
それを破ったのはキラの一言。
「カガリは大丈夫だよ」
その言葉をきっかけにラクスも何かを言いかけたのだけれどキラにそっと指で唇を抑えられてしまった。
そして、ふわりとラクスは宙に浮いた。いや、キラに抱き上げられたのだ。
「まぁ」
ラクスは驚きの声をあげつつも、その声はあまり驚いていないようだ。
ラクスがカガリのことに触れる前にキラはもう一言告げた。
「カガリが気になるなら、そのうち遊びに来ると良いよ」
キラがにこりと微笑むと、コックピットがタイミングよく閉まる。と思った瞬間、フリーダムは起動してキラとラクスは颯爽と去っていった。
「……あいつ、怒っているのか?」
アスランの口から零れたのは、疑問。しかし、その疑問に答えられる人物はここにはいない。
シンが迎えに来るまでアスランは二人が消えていった方をずっと見つめていた。
END
後書きという名の…
すみませんすみませんすみません。
勢いだけで書きました。
前半部分だけが書きたくて、書きました。
まとまってません、最低です。
すみません(平謝)
題名も思いつかず…(しくしく)