僕らの未来へ



 カモメ達が戯れる海は、ゆっくりと夕焼け色に染まっていく。
 そんな光景を美しいと、キラは心から思った。
 ゆったりと時間は流れて、あの日から2年。

「キラ……」

 キラを呼ぶ声は何故だか震えていた。
 キラは不思議そうに声の主を見た。すると、その少女は今にも消えてしまいそうな笑みを浮かべてキラを見つめていた。
 その笑顔は、あの日「父が死にました…」と言ったそれに似ているように見えた。

「ラクス……?」

 キラは小首を傾げる。
 尋ねていいものか、いけないものかと少し考えゆっくりと口を開く。

「……おいで」

 そっとラクスのほうへ手を伸ばして、微笑む。

 ラクスは恐る恐るキラの手をとると、キラがその手に力を込めて引き寄せ抱きしめる。

「キラっ……」

 キラの温もりが優しくて、ラクスの瞳からはたくさんの雫が零れ落ちた。

「……ユニウスセブンが……」

 上手く言葉にならず、それがもどかしくて余計にラクスの涙を誘った。

「ユニウスセブン……?」

 キラはラクスの言いたいことがわからず、自分なりに考えてみる。
 ラクスはしゃくりあげながらも、すっと指を空に向けた。
 ラクスのそれにつられるように空を見上げるが、特に変わりは無い。
 そう一瞬見えたが、キラキラと星が瞬いているように見えた。

「……ユニウスセブン…?」

 キラはもう一度、その単語を呟く。

 そして次の瞬間はっと、目を瞠る。

「落ちて…」

  最後まで言葉にしようとしたが、それを口にすることは憚られた。

「……それなら、ここは危険だろうね。そして、情報が乏しいし、ね。まだ、決まったわけじゃない」

 また運命の歯車の回る音がぎしぎしと耳鳴りのようにキラの中に響く。
 何もわからないこの状況では判断がしがたいと、キラは判断をした。

「僕に……僕らに何か出来ることがあるかもしれない」

 ラクスの背中を優しく撫でながら、キラは空を見上げて意志のはっきり宿った言葉を発する。

「行こう、僕らの未来へ……」

 キラの言葉に触発されるように、ラクスは顔をあげる。
 そして、しっかりと芯の通った瞳に吸い込まれそうな感覚に陥る。

「……はい」

 そう答えたラクスの唇をふさぐように、キラは自分の唇を重ねた。


 

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あとがきというなの言い訳
はい、書きました。
もうね、あの予告が本当か嘘かなんてどうでも良いんです。
書きたくなったから、書いたのです。
●話を迎えるにあたり、楽しみだったり不安だったり…。
でも、嬉しいです。キラとラクスに会えるのは(*^^*)
大捏造です。(いつもです)
もう、どうやってキラとラクスが戦争の始まりをどう受け止めるか。
それがすごく気になるんです。