願い
 キラがエターナルに戻ると、ラクスがキラを待ち構えていた。

「キラっ!」

 キラの姿を確認すると、ラクスは喜びで表情をほころばせた。
 キラもまたその様子のラクスを見て微笑みを浮かべた。

「ラクス」

 キラは優しく名を呼ぶと、ぎゅっとラクスを抱きしめた。
 先ほど別れる前にした、それよりも強く思いを込めて。
 そしてラクスもそれに応えた。お互いの無事を改めて確認しあうように、ゆっくり二人は抱きしめあった。

「間に合って、本当に良かった……」

 そう言って、キラは愛しそうにラクスの髪をそっと撫でた。

「まるで夢かと思いました……」

 キラの胸に顔を埋めていたラクスは、ゆっくりとキラを見上げてそう呟いた。

「まさか、キラが来てくれるなんて夢にも思いませんでした」

 ストライクルージュの姿が視界に入ったときのことを思い出して、ラクスの胸は不思議な感覚でいっぱいになった。

「あなたとアスランに、アレを渡さなくては……と、それしか頭にありませんでした」

 自分の命よりも、キラの剣を……。
 それがラクスにとって何よりも最優先だった。
 奪われてしまっては、いけないものだから。

「ラクス、ダメだよ」

 自分の思考の中に居たラクスは、その声色の厳しさに一気に引き戻される。
 自然とラクスはキラを見上げた。
 ラクスの視線の先のキラは、とても恐い顔をしていた。

「そんなの、ダメだよ」

 キラはそう言いながら、ラクスを見る。
 キラは無意識のうちにラクスを抱きしめる手に力をこめた。

「……僕は、君を守りたい。君のいる世界、君と一緒に居られる世界を守りたい」

 キラはラクスを失うなんて少しも想像したくなかった。
 それなのに、ラクスはそれでも良いといったのだ。
 確かにそれは一理ある。けれど、キラにとってはそんな選択はまったく無いのだ。

「アレがあっても、君が居なかったら……僕は……」

 キラはそう言って、目を伏せた。

「君は僕が守るから……だから、そんな風に考えてはダメだよ、ラクス」

 キラの声が少し震えていることにラクスは直ぐに気がついた。
 ラクスはそっとキラの頬に手を伸ばす。

「ごめんなさい。死ぬことを前提にしてはいけないですわね……」
「そうだよ……」

 鼓動を確かめ合うように、二人は今一度ぎゅっと抱きしめあった。


「あなたと、笑いあえる未来を……」


 ラクスが消えそうな声で呟くと、キラはそれに応えるように小さく微笑んでそっとラクスにキスをした。


 二人が何も心配せずに笑いあえる……そんな幸せな日々はまだこない。

END

すみません、オチを考えていませんでした(アホ)
題名がなかなか決まらず大変だった。
…今のもあまり気に入ってなかったり^^;

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