祈りの光
―キラ
キラは何か懐かしい声に呼ばれたような気がして視線を彷徨わせ、そしてふと空を見上げた。
空は少しずつ夜の幕を下ろしていた。
その瞬間、キラの瞳にそれは写った。
あまりにも小さいから、キラはそれを一瞬星だと思った。しかし、すぐに目を見開き次の瞬間悲しそうに瞳を伏せた。
「キラ…?」
キラを呼びにきたラクスが心配そうにその名を呼ぶ。
呼ばれたキラは、少しの間をおいてラクスの方へと視線を移した。
顔をあげたキラに、ラクスは驚いて言葉を失った。
どうしたのですか?そんなことは、ラクスは訊かない。
言えないことだって、ある。それをラクスは知っているから。
「今、空が光ったんだ……」
まるであの日、アスランを殺してしまったと言ったような口調でキラは言った。
空が光る、他の人が聞けば『星だろ?』そう言われかねないけれど、ラクスは違う。
ラクスにはそれだけでキラが何を言っているのかが伝わった。
ゆっくり、それは2年前の出来事を1歩ずつ確かめるかのようにゆっくりとキラの方へと足を動かした。
そして、キラの前へと来ると何も言わずにその体を抱きしめた。
「……泣かないでください、キラ」
―キラ、泣かないで。
キラの耳には二つの声が重なって聞こえた。
それは今優しいぬくもりをくれる少女の声と、傷つけてしまった少女の声。
二人ともキラにとっては大切な女性で、守りたくて、守りたかった女性だった。
「ごめんね」
まだ、僕は弱いね。そう漏らしてキラはラクスに応えるように、ゆっくりとその背中に手を回す。
言葉も無く、二人はお互いの存在を確かめるようにその場で抱きしめあった。
そして、そんな二人を包み込むように、見えない優しい光が二人を包んだ。
「「あなたが心から笑える世界になりますように。」」
―もう、私は守れないけれど…
そして太陽の光が消えるとともに、その光もゆっくりと二人をらせん状に包みながら消えていった。
あの戦いでたくさんの人を殺した。
そして、大切なものを失った。
空に見えた光は戦場の光に似ていた。
否、それは戦場で何度となく見てきた命が消えていく光だとキラは本能で悟ったのだ。
そして、ラクスもその光を知っているからキラの伝えたいことをすぐに知ったのだ。
あの戦いの当事者である自分たちだから、いつかはまた旅立たなくてはいけないことを二人は感じていた。
それは辛い道だろうけれど、それでも逃げてはいけないということを、守るためでも、銃を持ってしまった自分たちの責任だと知っているから―。
だからせめて…二人一緒に戻ってこられることを、そして世界が少しでも早く平和を取り戻せるように祈った。
今はまだ見えぬ未来に思いを馳せて。
あとがきというなの言い訳。
キラが戦いが再開された(る?)と知ったらどう思うでしょうか?
ラクスは?
そして、苦しんだ人々は…?
キララクを見守るフレイ。
私にとってもフレイは種においていなくてはいけない人物です。
今では彼女自身を好きだと思えます。
ただ、本命カップリングは別ですが(苦笑)
フレイとラクスのキラへの祈りは同じだと思います。
というか、私の書く話ってどれもこれも似てますよね。。。
修行が足りませんね。たまには違う感じで書きたいです。