遠いそらの色
「私達は間に合わなかったのかも知れませんわね……」

 ふと呟かれた言葉にアンディはラクスを振り返る。
 少しも動揺せずに、真っ直ぐと指揮をとってきていたラクスがそんな風に弱音を吐くなんて珍しいとアンディは思った。

『こんな子供達が戦わなくてすむ世界になると良いわね、アンディ』

 そんな恋人の声がしたような気がして、アンディは大事にしまっているアイシャの写真を出して見つめた。

「……ラクス、大丈夫だよ」

 ラクスの呟きを聞いていたのはアンディだけではなかった。
 声と共にキラの画像が大きく展開された。

「まだ、プラントはあそこにあるし……僕らがやれるだけ、やるから」

 アンディが出会った頃の迷いを秘めた瞳ではなくて、今のキラのそれは強い決意に満ちていた。

「キラ……」

 キラをみつめながら、黙ってその言葉を聞いていたラクスの表情は一瞬だけ切なそうに揺れた。
 アンディはそれを見逃さなかった。

(しっかし、こんな風な関係だったとは……)

 エターナルに合流した時のキラと、ラクスを思い出してアンディは色々と複雑な思いを抱いたのだ。
 初めて会ったのだと思っていたら知り合いで、そして心をお互いに許せるような関係になっていたとは思いもしなかった。
 それに、ラクス・クラインがザラ議長の息子と婚約関係にあったことは、誰もが知っていることだった。
 それが実は他の、しかも今まで地球軍として戦っていた少年とそんな風になっているなんて誰もが信じないだろう。
 アンディだって、そりゃ驚いた。

(男が、何も気にせずに守るもののために戦えるのは、こんな風に影から支えてくれる女がいるから、か……)

 しかし、二人が一緒にいる姿を見ているとそう思わざるを得なかった。
 何よりも、こんな風になった自分を守っているのは紛れもなくアイシャだとアンディは知っていた。
 アイシャとの別れを思い出し、アンディは心の中で深くため息をついた。

(……こんな風に半身を奪われるのは、俺だけで十分だな)

 それはこれから起こるかも知れない不測の事態に対して、願わずにはいられない強い想いだった。

(なぁ、アイシャ。もう少し、待っていてくれよ)

 アンディは遥か遠いそらに居る半身に向けて心の中で呟いた。

End

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後書き
よう、わからんですね(自爆)
アンディからみた、キララクのようなそんなような??
アンディは好きなキャラなのですvちょっと悪趣味なところがあっても(爆)
アイシャの側へと行ってしまうのでしょうかね……。
そのまた追記
アイシャは生きているらしいです。
私は未確認なので、こんな風な話の流れになりました。
確認できたとしても、この話は変わりません。