はぴばすでぃ
 「ハッピーバースデイ、ラクス」

 ピンクのバラの花束がラクスの目の前に広がった。

 「まぁ!」

 突然の来訪にラクスは満面の笑みを浮かべた。
 キラはバラの合間から顔をのぞかせて、ラクスの微笑を優しく受け止めた。

 「アスランに聞いてさ……」
 「そうなのですか、どうぞあがってください」
 ラクスはキラを招きいれた。
 「うん、お邪魔するね。あ、花束は僕が持つよ。結構重いんだ」
 100本以上あると思われる花束は、ラクスが見ただけでもわかるくらい重量感にあふれていた。

 リビングへと通されたキラは、改めてラクスに向き直って真面目な表情を浮かべた。
 「キラ?」
 ラクスはきょとんとした顔を浮かべ、首をかしげた。
 「お誕生日おめでとう」
 真剣な眼差しでラクスへと花束を向けた。
 「あのね、今日はバラだけじゃないんだ……」
 「え?」
 「見つかるかな?」
 キラはラクスに問い掛けた。
 ラクスは最初キラが何を言っているのかわからず戸惑いの視線をキラに向けた。
 「探してごらん、花束の中にあるものを……」
 そういわれて、ラクスはゆっくりと薔薇の花束を見つめた。
 そして、数秒後きらりと光るそれを見つけた。
 「……!?」
 驚きの表情を浮かべつつも、その表情には喜びの色が確かにあふれていた。
 ラクスはそっと花束へと手を伸ばした。
 そして、きれいに刺をとられている薔薇達の奥からソレを取り出した。
 ソレはラクスが思ったとおりのものだった。

 「ラクス、僕と結婚してください」
 キラはラクスの手からそっと、指輪を取り出しそしてラクスの左手の薬指へとはめた。
 すっと、透けるような白い肌をすべるように指輪が通る。
 ラクスの指のサイズ、ちょうどだった。
 「僕もやっと仕事が安定して、そして……世界も少しずつだけど優しさを取り戻してきているし、
 そして何よりも、これから変わり行く世界を君と一緒に歩みたいと思うんだ。
 こんな僕でよかったら、一緒に来てくれないかな……?」

 まっすぐとラクスの心を射抜くほどの視線でキラは見つめた。
 ラクスは、突然のプロポーズに言葉をなくしていた。
 しかし、指にはめられた指輪に確認するように触れてその感触を確かめた。
 一粒、涙が頬を伝った。
 「ラクス? 返事は、今日じゃなくて良いよ。あ、指輪はめちゃったけど気にしないでね」
 いろいろと自分の失敗に気がついたキラは、顔を真っ赤に染めてうろたえていた。
 「あ、とりあえず薔薇はお風呂場で良いかな?」
 こんな大きな花束を置くのなら、お風呂場がいいかなとキラは考えて、その場から逃げるようにキラは足を動かした。
 「待ってください」
 と、同時にラクスがキラの洋服のすそをつかんで引き止めた。
 「ラクス?」
 驚いたキラは、ゆっくりとラクスの方へと視線を動かした。
 そして、振り返った先のラクスはその瞳に雫をたたえてキラを見つめていた。
「……私でよかったら、ずっとそばにいさせてください……」
 ラクスはその言葉をかみ締めるようにキラに向かって放った。
 それと同時にラクスはキラの背中に手を回して、自分の表情を隠すようにキラの胸に顔をうずめた。
「……!!?」
 キラは声もなく驚き、突然腕の中へと来たラクスへどう対処して良いのか悩んだ。
「ラクス」
 キラはゆっくりとラクスの体を離すと、優しくラクスを見つめた。
 二人はどちらともなくゆっくりと顔を近づけて、唇を重ねた――。


 

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あとがき
めちゃくちゃ中途半端やないですか(自爆)
すみません。。。
誕生日企画ということで(逃)